文鮮明師
このテーマで最も具体的な解説と提案を提供したのは、文師であった。彼は、宗教が互いに対話し、お互いを抱擁し合うことを学ぶのは非常に重要であると強調した。しかしながら、現代の特徴は宗教的領域と世俗的・政治的領域を分離する壁であった。この状況を所与のものとして受け入れる必要はない。彼は世界平和に寄与する国際組織に対して、世界の偉大な宗教的伝統と自分たちとの関係を再検討するよう勧めた。彼の観察によれば、人間社会の諸般の問題は、根源的に、単に政治的な問題ではないために、社会的、政治的解決のみでは、常に不十分である。…大部分の国家的、文化的アイデンティティーの根底には宗教がある。事実、大部分の人々の心の中には、宗教的な忠節が、政治的な忠誠よりはるかに重要性を持っている。
文師は、今日、宗教は自らを刷新し、この世で真の指導力を発揮しなければならない、すなわち、宗教者たちは、宗教団体が世の中の救援に尽力することを妨げてきた「個人の救援や宗派の利益に汲々とする」状態から立ちあがらなければならない、と説いた。彼は、世界の為に愛と理想が実践されなければならないと語った。
彼は続いて、国連およびそれと提携するNGOによって検討されるべき、いくつかの具体的な提案をした。
1.彼は、国連組織の中に宗教界の代表者たちの議会を形成し、加盟国によって任命された尊敬されている精神指導者からなる国連の上院とするよう勧告した。その宗教議会は、政治的指導者の技術と経験を補完する宗教の知恵とビジョンによって、既存の国連組織と協力して働くであろう。この国連の上院は、特に普遍的で超国家的な平和の理想を代弁し、その代表者は特定国家の狭い利益を代弁することは避けるであろう。この意味において、これらの人々は国連からの世界大使とみなすこともできるであろう。
2.彼は国境および深刻な紛争地域に、国連が管轄する平和地区を作ることを提案した。彼は韓国の非武装地帯がその最初の例になるであろうと示唆し、彼自身がその目的のために個人的に物質的支援を提供した。各平和地区は和解、平和、安定、繁栄の楽園となり、国連の最高の願いの模範となるであろう。
3.彼は「真の父母の日」と呼ばれる世界的な祝祭日を国連が主催するよう呼びかけた。この日は、特に平和の文化の基礎としての結婚、親子関係、そして家庭が持つ、道徳的、社会的、世界的な重要性を認識し強調するために定められるものである。
結論として、文師は以下のように述べた:
私たちは今、…宗教と世の知恵の中にある諸々の高貴な内容が、緊急で深刻な問題が存在する世界で援用され、適用されうるよう、体制と組織を補完していかなければならない。このような体制は、超宗教指導者で構成された協議体が、国連の政治指導者、および外交官たちと協力し、共同の歩調を取ることで成されうる。
会議の参加者たちは後に、2000年総会の閉会の際の宣言文の中で、これらの提案を是認することとなる。